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[二丁目の叔父さん」☆大谷峯子を読んで…。

 

二丁目の叔父さん (ゲイの天才、モモエママの人生語り)

二丁目の叔父さん (ゲイの天才、モモエママの人生語り)

 

 

ある時はトラックの運転手、またある時はパチンコ屋の従業員、そして現在ゲイバーのママ。御年70歳。角刈りのモモエママの人生のはじまりはじまりー。

 

お気に入り度 ★★★

 

この本の著者の叔父はゲイである。御年70歳になるという。叔父は新宿2丁目でゲイバーを始めて40年になる老舗を経営している。この本で著者はゲイに対する理解と生き様や家族の接し方について訴えている。インタビュー形式でまとめられており、全253ページ。およそ7割が叔父さんとの対談で、叔父のパートナーとの対談が2割、著者、叔父、パートナーとの鼎談が少しと1時間程度で読了できた。

 

男性の同性愛者の呼び方は様々あるが、「ゲイ」はレズビアンもホモもすべてをひっくるめての言葉だという。「ゲイボーイ」は2丁目のお店などで働いている人、「ホモ」とは男っぽくして男に愛されたい人、「ニューハーフ」とは女の格好をする人なのだそうだ。「おかま」というのは、女の格好をして街に立って売春している人だとか。ここまで詳しいことは知らなかった。

 

なかでも興味深かったのは、叔父さんが中学生時代にそういう関係にあった男子同級生に電話した話。55年ぶりだったそうだ。消したい過去だと思われていないか不安だった叔父さんだったが、相手は「かつみくん?」と懐かし気な声で話したというのだ。そこは人間愛に奥深いものを感じた。自分のことではないがうれしかった。

 

叔父さんが中学生ぐらいの1960年代といえば、ゲイの解放運動が北米やヨーロッパ、日本で始まった時期とされているが、まだ現代のような開放された時期ではなかったと推測され今以上に生きにくかったのではなかろうか。ちなみに叔父さんと同年代のニューハーフ芸能人として有名なのはカルーセル麻紀である。華やかなニューハーフと比べて、角刈りで男のままの叔父さんはかなり地味な印象だ。

 

この本の表紙はピンクのバラが敷き詰められたもので、黒字の帯にピンクの文字で「乙女な少年たちよ、愉しく生きよ!」と書かれている。街中の本屋さんでこの本を買うのはかなり勇気がいるかもしれない。帯に書かれている少年とは、20代を越えた男子に向けたものだと思う。10代の少年のために、この本を買いやすくするならば、もっとシックな表紙の方がいいと思う。

 

あと残念に思ったところは、インタビュー形式で書かれているが、画像やイラストなどが一切ないこと。ざっくばらんな内容だが、叔父さんのイラストや写真、お店の様子などが挿入されていればもっと臨場感が出て読みやすかったと思う。内容はゲイの出会いから性の体験などがかなり濃い内容なので、未成年にはお勧めできない。

 

著者はゲイである叔父のことが大好きで、誇りに思っている。メンタルの強い叔父の人生を通して、自身も読者にも人生そのものを楽しんでほしいという強い気持ちが表れている。

叔父さんは、「今度生まれてきても、ゲイでいいと思ってる。」ここまで断言できる人生を歩んでいる叔父さんの半生記に興味がある方はぜひ読んでもらいたい。

 

余談ですが、お店の名前と、ママの名前が分かっていたので、グーグル検索したところ、FACEBOOKでお店が出てきた。ママの写真も出てきた。見た目は普通のおじさんといったところだが、著者によると、叔父さんは性別を超えた妖しい魅力のあるとのことなので、御店に行って一度会ってみたいと思った琴誠龍でした。