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「定年後の暮らしの処方箋」☆西和彦を読んで。

 

定年後の暮らしの処方箋

定年後の暮らしの処方箋

 

 

等身大の定年生活をめざす方に。ただし美術工芸、旅行、音楽、女性については記述なし。 著者の言葉を借りれば「並みのサラリーマンの成れの果て」に生まれた本。

 

お気に入り度 ★★★

 

この本はタイトルからわかるように、定年後の暮らし方について著者が観察、実践したことをまとめたものである。この本を読んで定年後の人生を面白がって暮らせるようになってほしいという著者の思いがつづられている。もともとこの本は入院している会社仲間のために書き溜めた10編程度から始まったものだが、周りの薦めもあり続編を追加してできたものである。

 

著者である西和彦氏は1945年に金沢で生まれ、京都大学大学院を卒業後、大成建設に入社、建築物全般の商品企画・市場開発に従事、理事で退社後定年を迎えている。大成建設といえば大手ゼネコン、「並みのサラリーマン」という言葉も謙遜された言葉だと思う。

 

息子さんは生まれた時から重度の障害を持っていたにもかかわらず、会社には言えなかった。医療費が年間百万円近くかかったが、出世の妨げになるという意識がないといえばウソになると正直に書かれています。賛否両論あるかと思いますが、やましい気持ちを隠さずに書かれていることに偽りはないと思います。定年を迎えた今だからこそ、障害児の父親を公言し、大きな特質として向きあっていることは会社というしがらみから解放されたからだと思います。

 

定年ときけば、「もうおしまい」だというイメージがどうしても嫌だった著者。自ら「提年期」という言葉を考えました。「会社時代とは違った価値観で社会とそして新しい仲間の方々と手をたずさえていく」という気持ちから造ったとのことです。これから定年を迎える方にとって、希望を与えるなかなかいい言葉だと思います。

 

この本のなかで一番のキーワードは「提年力」で、第6章の「提年力」には著者が定年を迎える方々に必要な力が具体的に書かれていていずれも納得できるものである。実際読んで確かめていただきたい。

 

全体的には定年後の日々の暮らし方、地域デビューの仕方、高齢化社会を生きる上で必要な知恵と努力など具体的に書かれているので読みやすい。196ページ、2時間ほどで読了できた。

 

この本で自分もマネしたいと思ったことがあります。それは、1年に名前をつけること。社会人になると1年の記憶があいまいになり、いつ何をしたのかわからなくなることもあります。例えば、去年はテニスをはじめた年、今年は「本が好き」に登録した年といったように。そうすることで名に負けないように注力し「年」を自分のものにできそうだからという著者の考えは素敵だなと思いました。

 

この本はどちらかといえば男性向けの本で、定年後の日常生活の小さな疑問や悩み、それに対してやってみたことが書かれているので、仕事を中心に頑張ってきた方におすすめしたいです。