kotoseiryu888’s blog

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「赤い指」☆東野圭吾を読んで…。

 

赤い指 (講談社文庫)

赤い指 (講談社文庫)

 

 

1人目の赤い指は認知症が引き起こしたものだった。2人目の赤い指は息子を取り戻すためだった。

 

お気に入り度 ★★★★

 

誰もが知っている東野圭吾さんの作品なので、書評を書くのをためらってしまうが、自分の読了記録を兼ねて書きたいと思う。

 

容疑者Xの献身」で直木賞を受賞後、1作目の作品であり、同様に刑事ものの作品であり、加賀恭一郎シリーズとしては7作品目である。東野圭吾作品はドラマ化されているものが多いので、最近、阿部寛が演じている加賀恭一郎は有名かもしれない。

 

中年のサラリーマン・前原昭夫が妻からの電話で帰宅すると、庭に変わり果てた幼女の遺体が。どうやら殺害したのは中学生の息子のようだ。家族の保身を考えた時、思いついたことは人として絶対にすべきことではないと思っていた事だった。息子のイジメ問題、嫁姑問題などで家庭不和だったが、事件により家族の結束が強くなった事は何とも皮肉である。

 

この作品の醍醐味の一つはは図らずも死体遺棄シーンである。まるで犯人になったような息も詰まる臨場感。死体とはいえ、罪もないあどけない少女を臭気のこもった汚らしい便所に置き去りにする極悪非道なシーンであるが、そういうことを忘れ去るほどの克明な描写は圧巻であった。

 

そして加賀刑事と加害者家族との関係、かかわり方、向きあい方は作品としてはお見事であるが、実際、こんな刑事さんおるか~?いやおらへんおらへん…。と、うそぶく私はやっぱりひねくれもんである。

 

この作品では、どこの家庭でも起こりうる問題がたくさん書かれている。中学生のイジメ、夫の浮気、認知症や介護、少年による犯罪などである。父親である前原昭夫は息子のイジメによる不登校も厄介事にしか思えず、息子と向きあうことをしなかった。言葉による対話ができずとも相手の目や態度でわかることもある。きちんと向きあっていればあるいは息子もこのような事件を起こすことはなかったかもしれない。

 

逮捕された息子は、反省をするどころか「親が悪い」と言い切る始末。たちが悪い。こやつだけは許せん!!

 

唯一の救いは加賀刑事と亡くなった父親との関係だ。

父親が亡くなる前に望んだことは、他からみれば、到底理解できないことだった。だが、「大事なことは理解できなくても尊重することだ。」加賀自身のセリフが救いである。

 

赤い指の謎は、ぜひご自身で確かめてください。